「言葉だけ通じる」から「気持ちも伝わる」へ
文法も単語も合っているのに、相手の反応が思っていたのと少し違う。そんな経験はありませんか。原因は言葉の知識ではなく、母語での話し方の感覚かもしれません。
言葉だけ通じる
- あなた「窓を閉めてください。」
- 相手の心の声(……急に、どうしたんだろう)
気持ちも伝わる
- (腕をさすりながら)
- あなた「なんか、ちょっと寒くないですか?」
- 相手「あ、そう? 窓、開いてるもんね」
- あなた「そうなんです…。閉めてもいいですか?」
- 相手「うん、閉めよう閉めよう」
言葉だけ通じる
- 相手「今度の土曜、みんなでバーベキューするんだけど、来ない?」
- あなた「行きません。用事があるので。」
- 相手の心の声(嫌だったのかな……)
気持ちも伝わる
- 相手「今度の土曜、みんなでバーベキューするんだけど、来ない?」
- あなた「えー! 楽しそう! すごく行きたいです!……けど、」
- (相手の反応を待つ)
- 相手「あ、もしかして予定ある?」
- あなた「そうなんです、その日はちょっと…。すみません、また誘ってください!」
- 相手「そっか、残念。じゃあ、また今度ね!」
どちらも、ひと言で用件を伝えるのではなく、何度かやりとりしながら、相手の反応を見て少しずつ用件に近づいています。上の言い方も、日本語としては間違っていません。ただ、多くの日本人は、こうした小さなずれを言葉の問題ではなく人柄の問題として受け取り、指摘しないまま少し距離を置きます。この家では、言い方だけでなく、こうした日本語らしい会話の進め方なども学べます。
まじめで礼儀正しい人ほど、母語の「丁寧さ」をそのまま持ち込みやすいと、私たちは感じています。ていねいに話そうとしている方にこそ、役に立つ学び方です。
- 「ちょっと…」の使い方の小ネタ動画後日掲載
練習できること
頼む、断る、謝る、誘う、ほめられたときに返す。気持ちのずれが起きやすいこうした場面を、会話の始めから終わりまで通して練習します。用件の切り出し方や、あいづちの打ち方、相手の反応を待つタイミングも、一緒に身につけます。
来る前から、帰ったあとまで
来る前から帰ったあとまで、こんなふうに過ごします。泊まっても、通っても、学び方は同じです。
- 来る前
- 過ごしているあいだ
- 最終日
- 帰ってから
1. 来る前:あなたに合わせて計画する
日本語を、どこで、だれと、どんなふうに使いたいですか。今、困っていることや、不安に思っていることはありますか。面談と事前のアンケートで、ゆっくりお話を聞かせてください。そのうえで、過ごすあいだに「できるようになりたいこと」を一緒に決めます。
どのくらい教わりたいかも、あなたが選べます。
「まずは、日本語で話すのを楽しみたい」
夫がすること:誤解されそうな言い方があったときだけ、そっとひと言お伝えします
「日本人にどう聞こえるのか、知りたい」
夫がすること:多くの日本人がどう受け取りそうかを、お伝えします
「次は、どう言えばいいのか知りたい」
夫がすること:受け取られ方に加えて、言い換えの例もお伝えします
「しっかり身につけたい」
夫がすること:理由まで説明し、場面を変えて一緒に練習します
過ごしているあいだに変えても大丈夫です。「今日はたくさん教えてほしい」「今日は気楽に話したい」も、遠慮なく伝えてください。
職場での会話、就職の面接、大学・大学院の入試、JLPT、発表、履歴書・志望理由書の添削など、目的に合わせてレッスンの内容を組み立てます。
2. 過ごしているあいだ:暮らす、学ぶ、試す
暮らしで気づき、レッスンで整理し、また暮らしの中で試す。過ごしているあいだ、この行き来をくり返します。
| すること | |
|---|---|
| 暮らす | 台所、食卓、リビング、おでかけ。日本語で一緒に過ごします |
| 学ぶ | 夫と1対1で、その日に気になった言葉や、うまく言えなかった場面を取り上げ、中国語との違いから整理して、場面ごとに練習します |
| 試す | 学んだ表現を、次の機会に台所や食卓、街で使ってみます |
毎日、できるようになったことを記録し、その内容とご希望をもとに、レッスンを少しずつ調整します。
街や家でのミッション
学んだ表現を、街や家で実際に使う課題です。街では、夫が同行して見守ります。ご希望と予定に合わせて選びます。
- 妻を、週末のおでかけに誘う
- レストランで注文し、アレルギーを伝える
- 駅員に乗り換えや運賃を尋ねる
- ドラッグストアで、症状を伝えて薬を相談する
- 郵便局で、台湾へ荷物を送る
- 店で「ちょっと考えます」と伝えて、その場を離れる
終わったら、その場で振り返ります。うまくいったことは一緒に喜び、気になったところは「今の言い方、相手はどう受け取ったと思う?」と一緒に考えます。
- ミッション動画後日掲載
3. 最終日:来る前の自分と比べる
来る前に決めた「できるようになりたいこと」を、一緒に振り返ります。来る前と同じ物差しで変化を確かめ、修了レポート(過ごしたあいだの記録、できるようになったこと、これからの課題)をお渡しします。
4. 帰ってから:学びを続ける
この家で使った言い方は、帰ってからも練習を続けられます。オンラインレッスンでは、帰ってから出会った場面も一緒に振り返ります。夫が開発・運営する NIHONGO‑AI では、場面に合った話し方を、ひとりでも練習できます。
NIHONGO‑AI
語用論的転移の失敗対策特化型日本語教育プラットフォーム
ほかの学び方との違い
目的によって、合う形は違います。この家が向いているのは、「日本のふつうの家庭で、ふつうの暮らしを体験したい」「母語のふつう、日本語のふつうを学びたい」方です。
◎ とくに強い ○ できる △ 一部・条件つき × ほとんどない
| 旅行 | 語学学校 | オンラインレッスン | ふつうのホームステイ | この家 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本の家庭の暮らし | 旅行・× ほとんどないほとんど触れない | 語学学校・× ほとんどないほとんど触れない | オンラインレッスン・× ほとんどない触れない | ふつうのホームステイ・◎ とくに強い触れられる | この家・◎ とくに強い触れられる |
| 日本語しか通じない | 旅行・△ 一部・条件つき観光地では中国語が通じることも | 語学学校・△ 一部・条件つき授業は日本語。クラスメイトとは母語になりがち | オンラインレッスン・× ほとんどないレッスンの外は母語の環境 | ふつうのホームステイ・◎ とくに強い家族は母語が分からない | この家・○ できる妻とは日本語だけ。困ったときは夫に中国語で相談できる |
| 言葉の先生 | 旅行・× ほとんどないいない | 語学学校・○ できるいる(大勢の中のひとり) | オンラインレッスン・○ できるいる(1対1) | ふつうのホームステイ・× ほとんどないふつうはいない | この家・○ できるいる(1対1、同じ家に) |
| 気になった言葉を、理由まで聞ける | 旅行・× ほとんどないその場で聞きにくい | 語学学校・○ できる次の授業で聞ける | オンラインレッスン・◎ とくに強い次のレッスンで聞ける | ふつうのホームステイ・△ 一部・条件つき家族に聞けるが、理由の説明は難しいことも | この家・◎ とくに強いその日のうちに、理由まで聞ける |
| 母語ではふつう、日本では失礼。そのずれを教えてもらえる | 旅行・× ほとんどない指摘されることは少ない | 語学学校・△ 一部・条件つき授業の範囲で | オンラインレッスン・○ できるレッスンの範囲で | ふつうのホームステイ・× ほとんどない遠慮して指摘されないことが多い | この家・◎ とくに強いご希望の程度で伝える |
| 文法を順番に学ぶ | 旅行・× ほとんどない学ぶ場ではない | 語学学校・◎ とくに強い教科書にそって、順番に | オンラインレッスン・○ できる講師と教材しだい | ふつうのホームステイ・× ほとんどない家族は先生ではない | この家・△ 一部・条件つき暮らしの場面から学ぶので、順番どおりではない |
| 同じ目標の仲間 | 旅行・× ほとんどないいない | 語学学校・◎ とくに強いクラスにいる | オンラインレッスン・× ほとんどないふつうはいない | ふつうのホームステイ・△ 一部・条件つきほかの留学生がいる家もある | この家・× ほとんどないいない(一度に1名) |
| 観光・自由な外出 | 旅行・◎ とくに強いいちばん自由 | 語学学校・○ できる放課後や休日に | オンラインレッスン・× ほとんどない日本にいない | ふつうのホームステイ・○ できる家の決まりの範囲で | この家・△ 一部・条件つき住宅街にあり、東京駅まで約1時間。門限は22時 |
| 日本に来ずに始める | 旅行・× ほとんどない日本に来る必要がある | 語学学校・× ほとんどない入学の手続きと来日が必要 | オンラインレッスン・◎ とくに強い家から、1回から | ふつうのホームステイ・× ほとんどない日本に来る必要がある | この家・△ 一部・条件つき暮らすプラン・通うプランは来日が必要。オンラインレッスンもある |
文法を体系的に学びたい方や、同じ目標の仲間と一緒に学びたい方には、語学学校が向いています。
もっと知りたい方へ
この学び方の背景には、外国語の学び方についての研究があります。専門の言葉を使った説明は、別のページにまとめました。